蝋細工のような花びらのロウバイ。320本が咲く渋川市「ロウバイの郷こもち」

花が少ない冬季に咲き誇るロウバイ。サクラのような派手さはないけれど、心にほんのりとしたあたたかさをもたらしてくれます。

緩斜面で320本のロウバイが冬の陽を浴びている。

生け花、茶花や庭木として普及

 2月上旬、群馬県渋川市の中郷という地区にある「ロウバイの郷こもち」に行ってきました。12月から翌年2月ごろが花期というこの花は、八分咲きというところで見ごろでした。
 ロウバイは、早咲きのものでは12月に入ると咲き始め、遅いものでも2月には開花のピークとなります。

 中郷地区は渋川市のやや北寄りに位置し、「ロウバイの郷こもち」のある「西組」は山間です。

 「ロウバイの郷こもち」は平成16年度にスタートした「住みたくなる村づくり推進事業」のひとつ、「花と食のむらづくり」という事業です。

 土地は近くにある雙林寺というお寺の山林を借りているもので、面積は1万1538平方メートル。この緩斜面にロウバイ320本とカエデ30本が植えられています。

遊歩道
広めの遊歩道が整備されている。

 ロウバイは中国原産の落葉低木で、その出自から唐梅(からうめ)とも呼ばれます。中国ではウメ、スイセン、ツバキとともに「雪中の四花」と称され、親しまれているそうです。

いくつもの花びら
小さな花が寄りそうように集まっている。

 日本へ渡来した江戸時代初期以降、ほかの花木より早く咲き、しかも花の香りが芳しいことから徐々に親しまれるようになり、生け花をはじめ、茶花や庭木などとして各地へ広まっていきました。
 私がこのロウバイ群のなかを散策しているときもほのかな香りが漂っていました。

 名の由来は多くのかたがご存知と思いますが、花びらの見た目が蝋でできているかのように見えることです。
 また、旧暦12月を臘月(ろうげつ)と言いますが、この臘月のころに花が咲くことも由来のひとつとされているようです。

 なお、俳諧では晩冬(小寒から立春の前日までの間)の季語となっています。

蝋細工のように見える花びら。
透明がかった花びらの質感。

 

 

主な品種はソシンロウバイなど3種類

 主な品種としては「ソシンロウバイ(素心蝋梅)」「マンゲツロウバイ(満月蝋梅)」「フクジュロウバイ(福寿蝋梅)」などがありますが、主流はソシンロウバイで、単にロウバイというときにはこれをさします。

 ソシンロウバイは花びらも花芯も同じ黄色ですが、このことから「素心(混じりけのない純粋な)」と名づけられたようです。

 マンゲツロウバイの名は、花の中心にある円形の赤褐色が満月のように見えることが由来です。

 フクジュロウバイは、花の色が文字通りフクジュソウのような明るい黄色をした花で、花の芯はレンコンを輪切りにしたような形をしています。

 どの品種も果実は小さく、痩せています。花床が発達した壺状の偽果に、数個から十数個見られます。

つぼみ
和菓子のようなつぼみ。質感はやはり蝋のよう。

 花やつぼみからは「蝋梅油(ろうばいゆ)」と呼ばれる植物油が採れますが、これは食用ではなく、薬として用いられます。

 基本的にタフな部類に入る木で、栽培は比較的容易です。土質をあまり選ばず、日当たりが少しくらいよくなくても育ちます。

春に花が咲く木 (花と実の図鑑)
夏・秋・冬に花が咲く木 (花と実の図鑑)

 繁殖には挿し木を用いるのが一般的ですが、種での苗木起こしも難しくなく、実生(みしょう)からの育成も行なわれます。冬の庭先が寂しいと思っている方、一本育ててみてはいかがでしょうか。

 ロウバイの林を頂まで歩くと、赤城山や周辺の山々を一望できるパノラマが展開していました。

赤城山などの山々
「ロウバイの郷こもち」から赤城山などの峰々が見渡せる。