晴雨、霊雨、積雨、淫雨……雨の降り方がさまざまだから名前もさまざま

暮らしと雨は切っても切れない関係です。四季の変化に富み、漢字文化を持つ日本人にとってはなおのことですね。雨の名前にも風情や情操を感じます。

てるてる坊主
雨が降らなければ困るけど、やっぱり晴れてほしい。

どの名前にも風情がある

 日本は雨が多い国だと私は感じています。天気は晴れのほうが好きですが、雨が降ってこその晴れですね。
 一口に雨といっても、いろいろな呼び方があります。ふだんあまり耳にしない名前や珍しい名前などをいくつかあげてみましょう。

 「肘笠雨」はにわか雨のことです。急に降り出すため、笠をかぶるひまもなく、肘を頭の上にかざして、袖そでを笠代わりにするという意味です。この雨は「肘雨」とも言います。

 また、名前というよりも、降り方に視点が置かれたものでは「篠突く雨」があります。たばねた篠を突きおろすように激しく降る雨です。

 心象の表現や物事の形容に使われるものもあります。晴天続きのときにほしい「一雨」や「恵みの雨」、人を帰さないためであるかのように降りだす「遣らずの雨」などです。

 また、これらの他に、漢語的表現のものもあります。「梅雨」や、台風の時期の「豪雨」などがそうです。梅雨や豪雨を含め、漢語的表現だけでおよそ50にもおよぶ呼称があります。以下に羅列してみます。

細雨(さいう)
晴雨(せいう)
酸性雨(さんせいう)
大雨(たいう・おおあめ)
沛雨(はいう)=激しく降る雨。
梅雨(ばいう・つゆ)
雷雨(らいう)
冷雨(れいう)
零雨(れいう)=小雨、こぬか雨のこと。
霊雨(れいう)=恵みの雨、慈雨のこと。

降雨(こうう)
膏雨(こうう)=農作物を潤すおしめり。
豪雨(ごうう)
凍雨(とうう)
風雨(ふうう)
暴風雨(ぼうふうう)
暴雨(ぼうう)
猛雨(もうう)
秋雨(しゅうう・あきさめ)
驟雨(しゅうう)=突然降り出し、強弱の変化を伴う雨。

五風十雨(ごふうじゅうう)=気候が順調なこと。
中雨(ちゅうう)
小雨(しょうう・こさめ)
涼雨(りょうう)
積雨(せきう)=長く降り続く雨。長雨。
白雨(はくう)=明るい空から降る雨。
麦雨(ばくう)=麦の穂が実るころ降る雨。
沐雨(もくう)=降っている雨で身を洗うこと。
宿雨(しゅくう)=毎日降り続く長雨。
緑雨(りょくう)=新緑の時期に降る雨。

豊かな感性が名前を作った


糸雨(しう)
慈雨(じう)
陰雨(いんう)=曇り空で降る雨。じめじめ長く降る雨。
多雨(たう)
飛雨(ひう)
微雨(びう)
淫雨(いんう)=長く降り続く雨。長雨。霖雨。
雲雨(うんう)=雲と雨。
煙雨(えんう)=煙るような状態で降る雨。
甘雨(かんう)=草木をうるおす恵みの雨。
山雨(さんう)=山に降る雨。山の方から降り出す雨。
春雨(しゅんう・はるさめ)
霖雨(りんう)=長く降り続く雨。長雨。淫雨。
放射能雨(ほうしゃのうあめ)

 

長雨(ながあめ)
糠雨(ぬかあめ)
小糠雨(こぬかあめ)
俄雨(にわかあめ)
五月雨(さつきあめ)
天気雨(てんきあめ)
篠突く雨(しのつくあめ)
横雨(よこあめ)=横殴りに降る強い雨。
朝雨(あさあめ)
肘笠雨(ひじがさあめ)
地雨(じあめ)=同じような強さで長く振り続ける雨。

涙雨(なみだあめ)=悲しみの涙が化したという雨。わずかな雨。
一雨(ひとあめ)
遣らずの雨(やらずのあめ)
恵みの雨(めぐみのあめ)
通り雨(とおりあめ)
照り雨(てりあめ)
日照り雨(ひでりあめ)
氷雨(ひさめ)
村雨・叢雨・群雨(むらさめ)=ひとしきり強く降ってやむ雨。
霧雨(きりさめ)

 これほどたくさんの呼び名を持つ雨。私たちの暮らしといかに関係が深いかを物語ると同時に、日本人の感性の豊かさを感じさせられますね。