日本の在来タンポポはセイヨウタンポポに勢力を拡げられて押され気味

たかがタンポポとあなどるなかれ。地域によっては食用や薬用として役立っています。

タンポポ1
舌状花の明るい黄色が春の野に映える。花は朝開いて夕方には閉じる。

世界中で2,000種類

 春の代表的な草花のひとつにタンポポがあります。タンポポの花が咲くのは、3月から5月くらいまで。明るい黄色が野山や人里に彩りを添えます。

 タンポポの花は、地域によって変異したものがあり、それぞれ呼び方が区別されています。
 たとえば、関東地方のカントウタンポポ、近畿地方から北九州にかけての地方ではカンサイタンポポ、静岡県のトウカイタンポポ、甲信越地方のシナノタンポポというぐあいです。

 タンポポ属は世界におよそ2000種あるとされていますが、日本の在来種としては、先にあげたものも含め、エゾ(蝦夷)タンポポ、ミヤマ(深山)タンポポ、シロバナ(白花)タンポポほか、全部で10種ほどが自生しています。

 

 

 シロバナタンポポは、その名の通り花が白い変わったタンポポで、ほかのタンポポと較べると人里に生えることが多い性質があります。関東以西から沖縄まで広く分布し、特に近畿地方や四国、九州に多く見られます。

 外国から移入されたものもあります。セイヨウタンポポです。このタンポポは、都市部のわずかな空き地などでも繁殖するほど生命力が強く、年々、分布地域を拡大しています。

 セイヨウタンポポと比べてデリケートな在来種は都市化が進むほど減少し、反対に、タフなセイヨウタンポポは増えるという現象が起きているほどです。
 こうしたことから、セイヨウタンポポは都市化の度合いを計る環境指標植物とされるまでになっています。

在来種は花の基部で見分ける

タンポポ2
冠毛のある軽い痩果は風に乗り、はるか遠くまで飛んで繁殖する。

 セイヨウタンポポが始めて日本へ入ってきたのは明治初期のことでした。札幌農学校に勤務する、ブルックスというアメリカ人教師が導入し、それが次第に北海道各地へと広がっていったのだそうです。

 在来種とセイヨウタンポポの見分け方を紹介しておきましょう。上から見ただけではわかりませんが、花の下部、茎につながる付け根の部分には、柿の実にたとえればヘタのようなものがあります。
 これが花の基部にくっついているのが在来種で、基部から離れて垂れ下がっているのがセイヨウタンポポです。

 タンポポは夏になるといったん枯れて休眠し、秋になると新たな葉を生長させて冬を越します。わざわざ寒い冬に葉を出さず、どうせなら春になってから葉を出せばいいのにと思いますが、タンポポにはタンポポの事情があるのでしょう。

 タンポポには意外な使い道があります。江戸時代には生け花にしたり、栽培しておひたしや和え物、汁物の具にするなど、野菜のような使い方もしていたそうです。

 また、フランスでは現在でもセイヨウタンポポを野菜として利用していて、サラダ用の品種なども開発されています。
 成分には抗菌や消炎作用があるステロールが含まれることから、薬としても利用されます。ヨーロッパでは、花や根を利尿剤や強壮剤、肝臓を強くする薬などとして使ったそうです。
 野草とはいえ、あなどれない存在と言えるようです。