
茶摘みの最盛期は初夏
もう、まもなく4月も終わりです。明日から大型連休へ突入という方もおいでかと思いますが、この時期、お茶の栽培農家では収穫作業に追われ、連休どころか、3時のお茶もままならないというところです。
今収穫されているのは一番茶で、茶摘みのピークは八十八夜の頃です。八十八夜は、立春から数えて八十八日目のことで、令和4年は5月2日が八十八夜となります。
「夏も近づく八十八夜」で始まる文部省唱歌の「茶摘」という歌をご存じでしょう。言うまでもなく、この歌は一番茶の収穫を歌ったものです。
ところでこの歌、詩も曲も、作者が誰なのかいまだにわかっていません。歌のテーマはお茶ですが、文部省の作者探しはお茶の子さいさいとはいかないようです。名曲なだけに、残念に思えてなりません。
話はそれますが、〝お茶の子さいさい〟の「お茶の子」というのはお茶菓子のことで、腹にもたれないことから、「簡単にできる」という意味に使われます。
「さいさい」は調子を取るための、単なる囃し言葉です。
さて、一番茶のあとは、6月の終わりから7月にかけて二番茶、8月に三番茶と続きます。二番茶と三番茶は夏茶とも呼ばれ、苦味や渋味が強いのが特徴です。
そして9月に、締めくくりの四番茶となります。
日本で最初に茶が栽培されたのは延暦24(805)年のことです。天台宗の開祖、最澄が中国から種子を持ち帰り、比叡山の山麓へ植えたのが始まりです。
ただし、それから400年近くは、茶は貴重な飲み物とされ、朝廷や寺院などでわずかに飲まれていただけでした。
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最大の産地は静岡県
一般社会に茶が普及するきっかけとなったのは、1191年に、栄西という僧侶が茶の種子を宋から持ち帰ったことでした。
種子を育てた栄西は、それを京都の明恵という僧侶に贈りました。明恵はそれを栽培して増やし、宇治、伊勢の河合、駿河の清見、武蔵の川越など10か所ほどに植えました。
現在の宇治茶や静岡茶、狭山茶などはその流れをくむ銘柄です。ちなみに、現在生産がもっとも盛んなのは静岡県で、全国生産量のおよそ半分を占めています。それに、鹿児島、三重、埼玉などの各県が続きます。
煎茶は煎じ茶とも言うように、茶葉を湯で煎じ出して飲むもので、日常でお茶と言う場合はこの煎茶をさすのが一般的です。
葉は、露地栽培で日光をたっぷり浴びた若葉を用います。葉にはポリフェノールの一種であり、渋味成分であるカテキンのほか、ビタミンCや、カフェインなども多く含まれています。
緑茶の最高級品である玉露は、一般的な茶葉とは栽培方法が異なり、木を覆って日射を制限し、緑が濃い軟らかな葉に育てます。
製造工程は一般的な茶と同様ですが、茶葉を揉む揉捻を弱くしたり、加熱を少なめにしたりします。
上等の茶に関係することわざもあります。ご存じのかたは少ないと思いますが、「良い茶の飲み置き」ということわざです。これは、品質の優れたお茶というものは、飲んだあとも味がしばらく口の中に残るものだという意味です。