葉ざんしょう、実ざんしょう、粉ざんしょう。サンショウは有能な香辛料

サンショウは、葉や実はもちろん、木は擂り粉木の材料になるなど、捨てるところがないと言われています。

サンショウ1
5月の朝倉サンショウ。すでに小さな実がたくさん付いている。

香辛料としてトップクラスの存在感

 私は朝倉サンショウの苗木を購入し、栽培を試みたことがあります。枯れてしまった木もありますが、元気に育った数本の木は、現在も毎年実をつけています。

 朝倉サンショウは生果用としてよく知られ、各地で栽培されています。
 木にトゲがないので、葉や実を採取する作業も楽です。葉はよく繁り、実は大きめでたくさん付きます。

 私が植えた場所は水田から畑に転換した圃場です。枯らしてしまった木が数本ありましたが、枯れた原因は圃場ではなく、霜にあるのではないかと推測しています。
 新芽が出てからの降霜にあったことが何度かありますが、芽や小さな若葉は霜で黒く焼けてしまいます。幼い木の場合はかなりダメージがあると考えられます。

サンショウ3
購入した朝倉サンショウの苗木。

 サンショウの若い芽は特別に「木の芽(きのめ)」と呼ばれ、吸い物に浮かせたり、和え物などの香辛料として利用されるほか、木の芽和え、木の芽味噌、木の芽田楽(でんがく)など、さまざまな形で利用されます。

 サンショウは、春の半ば頃になると、葉の付け根から出る房状の花の穂に、小さな黄色い花をたくさんつけます。
 この花は、秋になると直径5ミリほどの球形の実になります。熟すと赤くなり、その後、皮が裂けて黒い種子が現れます。
 その種子を粉末にしたものが「粉ざんしょう」と呼ばれるもので、七味唐辛子の原料のひとつとなったり、鰻の蒲焼きの香辛料になったりします。

 鰻の蒲焼きに使われるのは、香辛料としてだけでなく、食欲増進、脱臭や解毒などの効用があるためで、ちょうど刺身に対するワサビのようなものです。

 サンショウは、もとはサンショウ(山椒)という名ではありませんでした。サンショウという名になったのは中世以降のことで、それ以前はハジカミ(椒)と呼ばれていました。

 ところが、ショウガも同じハジカミと呼ばれていたため、サンショウのほうを、実がなるという意味のナルハジカミや、実が房状であることからフサハジカミと呼び、ショウガと区別していたのだそうです。

 

サンショウウオの名の由来

 ところで、サンショウウオ(山椒魚)という生き物がいますが、なぜサンショウの名を拝借したのでしょうか。これにはふたつの説があります。

 ひとつは、サンショウウオの外皮、人間でいえば皮膚ですが、その外皮がサンショウの木の皮に似ているからというもの。
 もうひとつは、サンショウウオの体の臭いが、サンショウの臭いに似ているからというものです。

 どちらの説が正しいのか、あるいは両方とも正しいのかわかりませんが、いずれにしても、サンショウとはそんな関係があるのだそうです。

 ところで、サンショウウオは両生類であり、魚類ではありません。なのに名前は山椒魚。
 しかも、植物のサンショウの名前を当てられているという、少々珍しい名前の持ち主ですが、もしサンショウウオが人間の言葉を理解できるとしたら、どんな気持ちか訊いてみたいところです。

サンショウ2
実の皮の色は緑から赤へ変わり、その皮の中には黒い種子が収まっている。