シソのベースは赤ジソ。刺し身のつまから漢方薬にまで利用される有用野菜

奈良時代からすでに栽培されていたシソ。食用や薬用として親しまれていました。

シソ
拙宅の敷地の片隅に毎年葉を繁らせます。

単にシソといえば赤ジソのこと

 夏が旬の野菜はたくさんありますが、キュウリやナスなどと異なり、あまり目立たないものもあります。シソもそのひとつです。
 6月から7月にかけての時期には、梅干しを漬け込むときに存在感がアップするものの、それ以外のときは地味な存在です。

 シソの原産地は、中国南部、ヒマラヤ、ビルマなどで、日本へは8世紀ごろに渡来したといわれ、奈良時代にはすでに薬用や食用として栽培されていたようです。

 シソには、よく知られた赤ジソや青ジソのほか、葉の表と裏の色が異なる片面ジソ、葉が縮緬状に縮れている縮緬ジソや青縮緬ジソなどがあります。
 通常、単に「シソ」というというと赤ジソをさします。漢字で「紫蘇」と表記することからもわかるように、赤(紫)が基本となっています。ちなみに、青ジソは赤ジソの変種です。

 赤ジソは秋になると、花がつくための穂が出て、その穂に淡い紅紫の小さな花をたくさんつけます。葉と同様、実も香りがよく、漬け物などにして食用とします。

 赤ジソの葉は、ご存じの梅干しをはじめ、チョロギやショウガ漬け、ほかの野菜と一緒にしてシバ漬けなどに着色用として利用するほか、乾燥させた葉を粉にし、ふりかけや和菓子の材料などとしても使います。

 「大葉」とも呼ばれる青ジソは、葉が緑色で実は白。葉は、おもに天麩羅やシソ巻き、刺身のつまや薬味などとして利用されます。
 青ジソの「芽紫蘇」は「青芽」と呼ばれ、赤身魚の刺身のつまに使われます。ちなみに、赤ジソの「芽紫蘇」は「むら芽」や「赤芽」と呼ばれ、白身魚の刺身用として重宝されます。

 

漢方薬としても活躍

 シソには、野菜の中ではトップクラスの多さといわれるβカロテンやカルシウムのほか、脳卒中や動脈硬化の予防、免疫力強化に効果があるといわれるリノール酸、αリノレン酸などの不飽和脂肪酸も含まれています。

 また、赤ジソに含まれる紫色の色素、ポリフェノールの一種である「シソニン」には、強力な抗酸化作用やアレルギーを緩和するなどの力があります。

 シソのもつ個性的な香りはペリルアルデヒドという成分によるもので、細菌の活動を抑制する防腐作用があり、魚や蟹による中毒の解毒作用もあります。そこで、刺身のつまに利用されるというわけですが、先人たちはそんなパワーをよく見抜いていたものと感心します。
 また、発汗を促したり咳を鎮めたりする効果もあります。

 さらにこの香り成分には胃液の分泌を促進させる効果もあります。つまり、食欲を増進させたり消化活動を助けたりすることにつながりますから、まさに夏の食欲不振などにはうってつけということになります。

 こんなぐあいでたくさんの薬効を持つことから漢方薬としても重宝され、赤ジソは「蘇葉(そよう)」という名の生薬として重用されています。
 シソは地味な存在でも優れた野菜なのです。