絵馬に描かれる絵は何でもござれ。蛇や百足も登場する

絵馬には神社の象徴である神様が描かれたり、参拝者の願い事が絵に描かれたりします。したがって千差万別の絵が描かれます。

絵馬メイン
絵馬は本物の馬の代用として考案された。

神社の御祭神や干支から願い事まで

 正月に初詣でをなさった方も多いことでしょう。
 神社や寺では護符や破魔矢などを用意して詣でる人を迎えますが、なかには絵馬を奉納した方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 絵馬は、神仏に祈願したり、あるいは、願い事が成就したときに、お礼の報告をする意味で奉納するものです。
 1月はすでに受験シーズンですが、この時期から2月頃にかけ、合格祈願の絵馬を奉納する人も多いようです。

絵馬にはさまざまな思いが込められている。

 絵馬に描かれている絵でもっとも多いのはもちろん馬ですが、過去に描かれた絵馬で現存しているもののなかには、各地の神社で神の使いとされている動物も多く、お稲荷さまで知られる狐をはじめ、山犬や狼、牛、猿、白蛇、果ては鰻や百足(むかで)までとさまざまです。
 変わったものでは、猿が馬の手綱を曳(ひ)いているものもあるそうです。

 また、祈願する人の考え方や祈願の内容によっても絵はさまざまで、たとえば、目や歯を患っている人は、それらの絵や文字を書き、乳の出がよくない人は、乳が勢いよく噴出している絵を描いたりしていました。

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 つまり、絵馬に描かれる絵は各神社独自の神様であったり、願い事をする人の願い事そのものだったりということのようです。
 たしかに、現代でも実際に奉納された絵馬を見てみると、さまざまなものが描かれていますね。絵を描くことが苦手という人にとっては新たな悩みになりかねませんね。

かつては本物の馬を奉納

 昔、農耕民族の日本人にとって馬は非常に重要な存在でした。農作業をはじめ、物資の輸送や人の移動などに欠かせないものだったからです。

 昔の人たちは、何か重要な願い事が生じたとき、この大切な馬を神社に奉納しました。大切な馬を手放すほどに、切実な願いというわけです。

 天候不順などもそうしたものの一つで、平安時代に著された「延喜式(えんぎしき)」という書物には、干魃のときの雨乞いには黒馬を、反対に、長雨で困ったときには白馬を奉納したと記されているそうです。

 ところが、願い事をするたびに大切な馬を奉納するのは考えものだ、と思ったのかどうか、鎌倉時代には、作り物の馬や絵に描いた馬を納めるようになりました。

 これを合理的と思うか、不誠実と思うか、判断は人それぞれといったところですが、とにかく、これが絵馬誕生のきっかけになったといわれています。

干支の絵馬
干支の絵が描かれるのは定番のひとつ。

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投稿者: 風筆堂

昭和中期に群馬県で産声をあげた〝高年〟男性です。県内企業を中途退職して独立し、グラフィックデザインと少々の雑文書きを生業としてきました。 一線を退いた今、日本(ときには世界にも目を向けて)の気候風土や民俗ほか、さまざまな物事を綴って行こうと思っています。

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