渡り鳥だった丹頂は今や留鳥。日本に渡来するのはどんな鶴?

日本で冬を過ごす渡り鳥の一つ鶴。丹頂は現在では留鳥となってしまいました。日本に渡来するのは主に鍋鶴や真鶴です。

丹頂はかつて渡り鳥だったが、現在は留鳥となったようだ。

 私は寒い冬が嫌いですが、暑いよりは寒いほうがいいという人もいます。生き物も同様で、夏を好むもの、冬を好むものとさまざまです。

 冬を日本で過ごす渡り鳥の一つに鶴がいます。渡来するのは、鍋鶴(なべづる)や真鶴(まなづる)などです。
 これらは10月頃北方から渡来し、冬が終わるまで日本で過ごします。かつては丹頂(たんちょう)も渡来していましたが、現在では、留鳥(りゅうちょう)として一年中生息しているようです。

 また、ときには黒鶴(くろづる)や袖黒鶴(そでぐろづる)、カナダヅルなども渡来するようですが、これらは、完全な冬鳥(ふゆどり)としてではなく、気分次第で渡来したり、あるいは迷ったりして飛んでくるのだそうです。どこの世界にも、気まぐれ者や慌て者がいるようです。

 鶴はツル科の鳥の総称で、単に「ツル」という名の鳥はいません。南アメリカや極地などを除く、ほぼ世界中に生息し、15種が知られています。

ことわざや格言、昔話にも登場

 なかでも、アジア東部には多くの種類が生息していますが、日本で繁殖するのは丹頂だけです。日本で一般的に鶴という場合には、この丹頂を指すことがほとんどのようです。丹頂は体高1メートル40センチほどで、翼を広げたときの幅は2メートル30センチほどになります。

 鶴は全体が白く、首や脚や細く長いことから、美しさや気高さの象徴ともされますが、それをうまく捉えたことわざもあります。「掃き溜めに鶴」は、薄汚いところに美しいものが現れることを揶揄したものです。

 鶴は古くから、瑞鳥(ずいちょう)、つまり、めでたい鳥とされ、それを象徴するような民話や伝承もたくさんあります。

 「鶴の恩返し」、あるいは「鶴女房」などと呼ばれる昔話は有名ですし、天上界から降りてきた鶴が主人公を災厄から救う「笛吹き聟(むこ)」という話もあります。
 また、芦(あし)の原で鳴いていた鶴が、一本の茎に千本もの穂がついた稲を持ってきて、その稲穂から稲作が始まったという言い伝えもあるそうです。

 縁起を担がれることも多く、鶴が舞い降りるといいことがあるとか、お金がたくさん入ってくる、などともいわれているようです。

 会議などで、なかなか結論が出ないとき、有力者などのただの一声で決まってしまうことなどを、「鶴の一声」と言いますが、本物の鶴の声も大きく、高く澄んでよく通ります。これは、気管が長く、ぐるぐる巻いているからなのだそうです。

 「鶴は千年、亀は万年」などといわれ、地方によっては、鶴の夢を見ると長生きするともいわれるようですが、実際の鶴の寿命は、20年から30年ほどだそうです。